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名古屋高等裁判所 平成7年(ラ)49号 決定

主文

一  原決定を次のとおり変更する。

二  抗告人らに対し、名古屋地方裁判所平成六年(ワ)第一四八六号損害賠償請求事件の訴え中、訴状の請求の原因の第二に基づく請求に関する訴え提起の共同担保として、本決定の送達を受けた日から一四日以内に、相手方松永亀三郎、同安部浩平、同太田四郎、同斎藤孝、同新井市彦、同内田敏久及び同木村洋一につき、それぞれ一〇〇〇万円を供託することを命ずる。

三  相手方松永亀三郎、同安部浩平、同太田四郎、同斎藤孝、同新井市彦、同内田敏久及び同木村洋一のその余の申立て並びに相手方殿塚猷一及び同山﨑昭平の本件申立てをいずれも却下する。

理由

第一  本件抗告の趣旨及びその理由

本件抗告の趣旨は、「原判決を取り消す。本件担保提供の申立てを却下する。」との裁判を求めるというものであり、その理由は、別紙「平成七年七月七日付け準備書面」に記載のとおりであるから、これを引用する。

第二  事案の概要

原決定の理由の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

当裁判所は、相手方である本案被告らの担保提供の申立てについては、抗告人である本案原告らに対し、本件訴え提起の共同担保として、本決定の送達を受けた日から一四日以内に、本案被告松永亀三郎、同安部浩平、同太田四郎、同斎藤孝、同新井市彦、同内田敏久及び同木村洋一につき、本案訴訟事件の訴状の請求の原因の第二に基づく請求につき、それぞれ一〇〇〇万円を供託することを命ずる範囲において理由があるから、これを右限度において認容すべきであり、本案被告松永亀三郎、同安部浩平、同太田四郎、同斎藤孝、同新井市彦、同内田敏久及び同木村洋一のその余の申立て並びに本案被告殿塚猷一及び同山﨑昭平の申立ては理由がないものとして却下を免れないものと判断するものであるが、その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原決定の理由の「第三 当裁判所の判断」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原決定三四枚目裏六行目の「原告」の次に「ら」を加える。

二  同三五枚目表一ないし二行目の「過失による不当訴訟の場合を一切除外することとなり、」を削除し、同二行目の「担保提供」の前に「前記説示の」と加入し、同二ないし三行目の「損なうものであって」を「損なわせることになって」と改める。

三  同三六枚目裏八行目の「場合であっても、」の次に「不法不当な目的で株主代表訴訟を提起した原告に対して、」と加入し、同九行目の「場合がある」を「ものというべきである」と改める。

四  同三七枚目裏二行目の「追求」を「追及」と改める。

五  同三八枚目裏一行目の「逸脱した」を「逸脱し、かつ、同制度に基づく株主権の行使を濫用した」と改める。

六  同三九枚目裏七行目の「欠くと」を「欠き、権利の濫用と」改める。

七  同四〇枚目裏一〇行目、四一枚目表三、四、五、七、九行目にそれぞれ「回」とあるのをいずれも「期」と改める。

八  同四一枚目表三行目の「事前」の前に「原子力発電所に関連する」と、同行目の「おいては」の次に「、原子力発電の経済性、安全性等の問題について」と、同六行目の「一部が」の次に「総会に出席する株主に対し、原子力発電所の設置に反対する」とそれぞれ加入する。

九  同四三枚目表四行目の「自体を」を「自体権利濫用に当たり、これが」と改める。

一〇  同五三枚目表二行目の「平方メートル」の次に「ただし、登記簿上の地目は雑種地である。」と加入し、同三行目の「価値」を「担保価値」と改める。

一一  同五四枚目四行目の「としても、」の次に「古和浦漁協が約一億九八五〇万円相当の担保価値を有する土地を所有するといっても、中部電力がこれに担保権を設定したこと及び同漁協の全資産内容を表した疎明資料が存しないことにかんがみると、右預託金提供行為が正常な経営活動の範囲に属する行為といえるかについては、」と加入する。

一二  同五四枚目裏一一行目から五六枚目表四行目までを次のとおり改める。

「ところで、前記のとおり、原告らが、本件本案訴訟を原発建設反対運動の一環として位置づけて、この個人的、社会的な目的を達成するために、株主代表訴訟を提起していることにかんがみると、右二億円の損害賠償請求についても、原告らは、専らあるいは主として個人的な主義主張、社会的目的を達成することを企図して本件本案訴訟を提起したものと窺えないではないが、前述のとおり、二億円の支出をめぐる部分の訴えが事実的、法律的根拠を欠く理由のない不当訴訟であるとまでは断定できず、かつ、株主代表訴訟が提起され、未だ口頭弁論期日も開かれない現段階において、原告らが、株主代表訴訟に仮託して、専ら、自己の芦浜原発建設反対運動を推進することを目的として右訴訟を提起したものであって、取締役等の会社に対する責任を追及し、会社の損害を回復して株主全体の利益を守るために、株主権を行使することを目的として設けられた株主代表訴訟制度を逸脱ないし濫用する訴訟活動を展開するものと認めるに足りる疎明は、本件全資料を検討しても存しない。そして、商法二六七条五項、六項、一〇六条二項は、右全株主の利益を適切に代表し得ない者を排除しようとすることを目的とするものであるから、原告らが、訴訟の追行過程において、専ら、個人的利益を追及したり、個人的な主義主張、政治的・社会的目的等を達成することのみに拘泥し、株主代表訴訟制度の目的を逸脱ないし濫用するような事態に及んだ場合には、その段階で、被告とされた取締役等の被るであろう損害を担保するため、被告らの申立てに基づき原告らに対し、担保提供を命ずることもできるものと解するのが相当である。」

一三 同五六枚目表五行目の「原告」から同六行目末尾までを次のとおり改める。

「原告らには、本件本案訴訟のうち、六〇億円の損害賠償請求(本案訴訟事件の訴状の請求の原因の第二に基づく請求)に関する訴えの提起については悪意があるが、二億円の損害賠償請求(本案訴訟事件の訴状の請求の原因の第三に基づく請求)に関する訴えの提起については悪意があるものとはいえないものというべきである。」

一四  同五六枚目裏一一行目から同五七枚目表八行目までを次のとおり改める。

「2  そして、本件記録によると、本案被告松永ら七名は、本案訴訟事件の訴状の請求の原因の第二の事実に基づく請求、すなわち、六〇億円の損害賠償請求に応訴するため、訴訟代理人として弁護士を選任することを予定していることが認められるところ、前示した考慮要素を総合的に判断すると、右請求につき、本案原告である抗告人らは、共同して、本案被告松永ら七名に対し、各一〇〇〇万円の担保を提供するよう命ずるのが相当である。」

第四  結論

以上のとおり、本案被告松永ら七名の本件担保提供の申立ては、本案訴訟事件の訴状の請求の原因の第二の事実に基づく請求に関する訴えの提起につき、前記担保の範囲で理由があるから、その限度でこれを認容するのが相当であるが、同七名のその余の申立て並びに本案被告殿塚及び同山﨑の本件申立てはいずれも理由がないから、却下すべきところ、これと結論を異にする原決定は失当であるから、これを右のとおり変更することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官塩崎勤 裁判官玉田勝也 裁判官岡本岳)

別紙<省略>

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